2024.06.01

単孔式胸腔鏡手術研究会会長退任のご挨拶

単孔式胸腔鏡手術研究会会長退任のご挨拶

単孔式胸腔鏡手術研究会は、2018年4月に設立されました。
当時日本ではいわゆる多孔式胸腔鏡手術が標準手術として定着していましたが、東アジアを中心に一個のみの術創から胸腔鏡手術を行う、単孔式胸腔鏡手術が始められていました。
Dr Diego Gonzalez Diasはスペインの天才呼吸器外科医で、それまで技術的に困難と考えられていた肺葉切除など複雑な手術を単孔式胸腔鏡手術で可能にした方です。当時上海のShanghai Pulmonary Hospitalに招聘され、素晴らしい手術を展開していました。
その手術を見学し、これが単にアクロバットな手術などではなく、合理性を持った新しい低侵襲手術であることを確信しました。
そこで日本でこの手術を発展させたいと、単孔式胸腔鏡手術研究会を結成することになりました。第118回日本外科学会会期中の2018年4月6日、学会会場近くの会議室にキックオフミーティングのため下記の創立メンバーが集まりました。
この場で研究会名を単孔式胸腔鏡手術研究会、英語名をJapan Society of Uniportal VATS Interest Group、略名をJUVIGと決定し、会則が制定されました。
当初10名で発足した研究会は現在、184名の会員を擁するまでになりました。
私はその昔、(多孔式)胸腔鏡手術を開発した一人ですが、当時全く新しい胸腔鏡手術は大家の先生方の賛同を得られず、展開に大変苦労しました。
その経験を踏まえ、若手が伸び伸びと、かつ緊張感をもって新しい手術に取り組めるよう、応援するのが単孔式胸腔鏡手術研究会のミッションで、セミナーやテキスト作成、ハンズオンなどさまざまな活動を行ってきました。
単孔式胸腔鏡手術研究会のメンバーはみな熱心で、物おじしないで新しい手術を推進しています。若い彼らの活動を見て、私の役割が終わったことに安堵し、このたび会長を退任させていただくことにしました。
そして後任を須田 隆先生に託させていただきました。須田新会長は世界的な呼吸器外科医です。新しい時代を開拓していかれるに違いありません。

これまで6年間の各位のご指導・ご協力に心から感謝を申し上げ、退任のあいさつに代えさせていただきます。ありがとうございました。

森川利昭

以下に2018年4月8日単孔式胸腔鏡手術研究会発足時の世話人氏名を記します。
(役職名はいずれも当時のものです)

■会長
森川利昭 (東京慈恵会医科大学客員教授、総合東京病院呼吸器外科部長)

■常任幹事
小田誠(新百合ヶ丘総合病院呼吸器外科部長)
平井恭二(日本医科大学千葉北総病院呼吸器外科部長、教授)
須田隆(名古屋保健衛生大学病院呼吸器外科教授)

■幹事
大田守雄(中頭病院呼吸器外科部長)
田尻道彦(神奈川県立呼吸器循環器病センター呼吸器外科部長、副院長)
佐藤寿彦(京都大学附属病院呼吸器外科准教授)
山下眞一(福岡大学病院呼吸器外科診療教授)

■監事
佐野由文(愛媛大学呼吸器外科学准教授、呼吸器センター長)

■顧問
奥村明之進(国立病院機構刀根山病院長、前呼吸器外科学会理事長)
千田雅之(獨協医科大学呼吸器外科主任教授、日本呼吸器外科学会理事長)

■Special Adviser
Diego Gonzalez Rivas