単孔式胸腔鏡手術講習会講師を経験して
前橋赤十字病院呼吸器外科
井貝 仁
今回、5月29日に八王子オリンパス技術開発センターにて開催された単孔式胸腔鏡手術講習会で、森川利昭先生、須田隆先生、平井恭二先生、千葉眞人先生らと共に講師を務めさせて頂きました、前橋赤十字病院呼吸器外科の井貝仁です。
今回、私は講師として初めて上記講習会に参加することとなりましたが、同講師を経験した感想を述べさせて頂く機会を頂きました。
拙い文章にはなりますがお付き合い頂けると幸いです。
みなさんご存知のように、本邦においても低侵襲手術の一つとして単孔式胸腔鏡手術が徐々に普及されております。
単孔式を導入するにあたり、ブラ切除や部分切除では従来の多孔式に少しの工夫を加えることで可能となることが多く、そのハードルは低いですが、葉切除や区域切除を始める際には単孔式にマッチした器具の準備に加え、単孔式特有の鉗子の扱い方、展開の仕方、staplerの挿入法をマスターすることが必須となります。
もちろん、ご自身のみでこれらの技術を習熟させていっても良いとは思いますが、やはり単孔式のエキスパートからそのノウハウを直接指導してもらった方が明らかに効率的であると考えます。
特に、学会のビデオなどでは説明されていない、“胸腔外”での鉗子の配置や動かし方などを学べる点は貴重であり、同講習会を受講する最大のメリットの一つではないかと考えます。
実際、私が指導させて頂いたお二方の先生はすでに十分な手術経験を有していたため、これら“胸腔外”のノウハウ、また“胸腔内”での展開の仕方、staplerの挿入方法などをすぐにマスターし、講習会を通じて単孔式胸腔鏡下解剖学的肺切除の安全な完遂に何歩も近づいた感を得ました。
受講された先生が単孔式胸腔鏡下解剖学的肺切除を導入するにあたり、今回の講習会で学んだ技術を用いることでそのラーニングカーブが促進することを期待しております。
今回の講習会では午前中にドライラボを、午後からはウェットラボを施行しており、講師としての立場ではありますが、正直、その中身の濃さに感銘を受けました。
特に森川先生、須田先生が監修に携わったドライラボの肺モデルの出来は秀逸であり、受講した先生は午前、午後合わせて2回の肺葉切除を施行できるイメージとなります。
私も今までに多くの講習会に参加してきましたが、その中で最も有意義な講習会の一つであったように感じます。
ひとえに、講習会を開催するごとに内容をブラッシュアップさせてきた講師の先生のご尽力の賜物ではないでしょうか。今回、このような素晴らしい講習会に携われたことを大変嬉しく感じております。
以上が単孔式胸腔鏡手術講習会に講師として参加させて頂いた私の感想になります。
今後も単孔式を導入したいと考える多くの先生が同講習会を受講し、低侵襲である単孔式胸腔鏡手術が安全に本邦でも浸透していくことを祈念しております。また、それに対して微力ではございますが、私なりに貢献できるよう精進していきたい所存です。
最後に、このような貴重な機会を与えて頂いた森川利昭先生、須田隆先生、平井恭二先生、千葉眞人先生、今回の講習会を全面的にサポートして下さったオリンパス株式会社様にこの場をお借りし御礼申し上げます。